アメリカ薬剤師の業務内容は、基本的には、というか理想的には、疑義紹介、患者へのカウンセリング、処方監査、電話による処方受付です。あっ、これリテール薬局での場合です。病院はよくわかりません。
疑義照会
日本とほとんど変わりないと思いますが、薬品名、用量、頻度、指示、などの記載が不十分であったり、薬暦や患者の年齢・既往症と矛盾があったりする場合はもちろん、麻薬鎮痛剤などのControl Substancesなどは、各州の法律に基づいて処方しなければならないで、薬の管理人としての注意が必要です。また、小児患者の場合はさらに用量などの注意が必要ですね。こういったあらゆる疑問はすべて疑義照会の対象となりますので、即電話で問い合わせします。その際、クリニックなどはオフィスに電話すればいいのですが、大学病院だとポケベルで呼び出してもらわないといけないので面倒です。
カウンセリング
たぶんほとんどの州では義務付けられていると思います。基本的に、新しい処方については服薬指導しなければなりません。ただ、時間も限られているし、日本のように点数制ではないので日本の服薬指導に比べるとずいぶんはしょったものかもしれません。指導内容は投薬方法、副作用などがメインです。また患者からの電話相談や窓口相談、市販薬(OTC)、ファーストエイドに関する質問も多いのでそういった知識も不可欠ですね。
処方監査
アメリカの薬局ではテクニシャンが処方箋を見てコンピュータに必要事項を入力し、薬品を棚から持ってきて数えて、容器に入れ、ラベルをつけます。薬剤師は、処方箋、ラベル、薬品を見て、間違いがないか監査します。また、このとき薬暦もチェックします。このときDURも役に立ちます(DURについては後に説明します)。すべてに問題がなければGOですね。うちの薬局ではすべて指紋認証テクニックを使って監査終了を行います。
電話による処方受付
日本と違って、アメリカでは電話で処方箋を連絡することが多々あります。薬局には白紙の処方箋がありますのでそこに薬剤師が電話を片手に書き込んでいきます。電話による処方は看護婦さんが医師代理としてかけてくることが8-9割です。英語の聞き取りは必須です。というか聞き取れなくても聞き取れるまでスペルを聞くなどしてねばる根性が必要ですね。
まぁ以上が基本的な業務ですが、リテール薬局では薬剤師がその日のボスです。ですから患者からの苦情やその他のトラブルシューティング、保険会社とのやりとり(これがけっこう雑用で面倒な作業、テックもしますが薬剤師も問い合わせすることがあります)、そして管理能力が何より問われる仕事です。管理と言えば在庫管理などもありますね。
DUR
Drug Utilization Reviewとは、Omnibus Budget Reconciliation Act of 1990(OBRA90という法案が可決されたときに作られたもので、主にMedicaid(生活保護を受けている患者さんに与えられる国と州が提供する医療保険)の患者対象に、安全かつ適切に処方・監査業務ができるように開発されたプログラムのことです。このプログラムの組み込みにより、コンピュータ上での監査業務がはかどります。(どなたかフォローあったらよろしく…)
カテゴリー: アメリカの薬剤師になる
私が日本からアメリカの薬剤師をめざすとしたら…
私が日本に住んでいてアメリカの薬剤師をめざすことを決意したならこんな方法でアプローチしてみるかもしれません。私はお金がないし、あってもお金も時間ももったいないのでPharmDには行かず、FPGEEの方法でがんばります。
今ではアメリカに10年以上も住んでいるので英語もそこそこですが、アメリカに来る前は全く話すことができませんでしたし、読み書きも辞書なしではとても難しいものでした。当時、留学する前になんどかTOEFLを受験もしましたが、点数は460点くらいでなかなか伸びずめげていたのを記憶しています。でも、コミュニティカレッジに行って1年半たったころには、TOEICで920点取りました。TOEFLは560点とか570点くらいだったんではないでしょうか。覚えていませんがその当時で600点は取れていませんでした。
1) FPGEEの申し込みをします。もちろん同時にFPGEEの勉強も始めます。
2) FPGEEに合格するだけで、すなわちFPGECを取得する前にインターンが始められるのマサチューセッツでコミュニティカレッジのPharmacy Tech科にトランスファーする手続き(入学申し込み・F1bビザの申請)をします。例えば、Bunker Hill Community College。ここならTOEFLスコアが423で入学条件を満たすし、Pharmacy Technology Programというのがあります。これならアメリカの薬局事情をよく勉強できますし、英語の勉強もでき、さらにリテール薬局と病院薬局での実習コースがあります。
3) この実習コース前にFPGEEにパスしていたら同時に免許取得に必要なインターン(学生なのでボランティアとして)を始められるかも知れません。
4) 仮にできなくても、この科を卒業する少し前に、OPT(Optional Practial Training) ビザの申請をします。このビザがあれば、薬局で1年間有給で働けます。働ける=SSNもゲットできます。このビザを利用して免許取得に必要なインターンを開始できます。
5) 4月のH1b申し込みに間に合うようにタイミングをしっかり考えます。FPGECをなんとか遅くても11月くらいまでに取得できるように英語に磨きをかけ、9月くらいまでにiBTをパスしなければ一年無駄になってしまいます。
6) インターン先の雇い主(リテール薬局)にお願いして、OPTビザからH1bビザに切り替え手続きをします(OPT→H1b切り替えは可能です。経験者です)。ちなみにOPTビザは在学中にも申請して使うことができます。
2008年1月入学
2009年5月卒業 FPGECを2008年11月ごろまでに取得したら2009年4月のH1b申し込みに間に合います。H1b取得するまでの待ち期間もOPTがあればインターン時間を消化できます。
FPGECを2009年11月までに取得したら2010年4月のH1bに申し込み。卒業してから約一年の間もやはりOPTを活用してインターンを消化できます。
これでも最短2年、または3年くらいはかかりますね。でもたぶんそのくらいの下積みは逆にないと薬剤師になっても言葉や文化の壁などもありますし、アメリカのヘルスケアシステムの理解もしてないといけないので大変かと思いますし、日本にいても2年、3年はやはりかかるのではないでしょうか。
以上はあくまでもアイデアで、なんの保障もありませんのであしからず。また大学についてもたまたま1つの大学を上げましたが入学条件や学科内容についても詳しく調べているわけではないのであまりあてにはしないでください。
日本からアメリカの薬剤師をめざしている方へ 2 [やっぱり病院で働きたい]
チェーン薬局じゃいや、やっぱり病院薬剤師としてアメリカで働きたいと思っている方へ
日本に住みながら夢を見るのはやめましょう。H1bのスポンサーにはまずなってくれません。病院もそこまでしなくてもアメ人雇います。
http://www.urch.com/forums/pharmacy-forum/
にもいくつかありますが、ボランティアでインターンをしてその後人脈(コネ)ができたところで採用というのがけっこうあるようです。日本人の方でボランティアで働いて病院採用になった方を知っています。ただ彼女のビザステータスについては私もわかりません。
日本人の方なら、アメリカのコミュニティカレッジのPharm Tech科を取り、ローカルホスピタルでの実習が必須となっていることがあるのでそのときに事情を話せば、学生しながら(F1ビザ)、病院薬局でボランティアベースでインターンを消化して免許取得することも可能かと思います(絶対できるとは言ってませんよ)。実際、病院でのボランティア活動はどこも盛んで、ちょっと大きいところなら薬局でのボランティアも募集しています。その場合、免許を取った後にビザステータスをどうするかと言うことになります。同じ病院でスポンサーになってもらえるのがベストです。もしスポンサーになってくれるなら、個人で移民弁護士を雇い書類作成をしていきます。スポンサーは基本的に書類にサインをするだけなので、雇い主側との人間関係が親密になっていればあまり問題ないかと思います。コミュニティカレッジのPharm Tech科なんてバカにしないでください。日本の薬学部を出ていれば、単位をいくつかトランスファーできるので、1年ちょいで卒業できるでしょう。その間に英語の勉強もできます。学費もPharmDに比べて超安いです。おまけにOPTを利用して在学中または卒業後1年間給料をもらいながら仕事をすることもできます。OPTとは専攻に関する就業トレーニングを受けるためのビザのことです。ただ、この方法は一か八かなので必ずこれで薬剤師になれるというわけではないのであしからず(FPGEC経由で薬剤師になりたい方)。
PharmDを取得して病院の薬剤師になりたい場合は、お金はかかりますが、FPGECに必要なFPGEE、iBT、インターンなどを省くことができます。ただし、その後の病院への就職は上記と同じです。いずれにせよH1bがないといけません。
日本からアメリカの薬剤師をめざしている方へ 1
ちょっといろいろ調べてみました。
基本的にこれは以前から申していますが、市民権(US Citizenship)または永住権(Greencard)がない場合、アメリカで薬剤師として仕事をするには H1b ビザが必要となります。H1b ビザを申請するにはスポンサー(雇用主、病院またはチェーン薬局)が必要です。スポンサーを見つけるにはFPGECが必須です。
ただし、H1b 取得は http://www.p-style.com/e-1618.html こちらの記事を見ていただければ分かりますが、応募者が多いため申請までこぎつけても抽選でもらえるかもらえないかが決まるようですから、現状はかなり厳しいですね。私が別の仕事でH1bに応募した10年前はまだ抽選ではなく、そのときは早い者勝ちだったような気がします。ただ、この記事を読んでいると2008年は枠が約倍の11万数になりそうですし、それ以降も枠が増えそうですのでかなり希望があるのでは。
では、来年の枠に応募したいと言う方、どのようにスポンサーを見つけましょうか。病院で働きたいという方もいるようですが、基本的に病院は非営利団体であり保守的団体ですからわざわざ外国人薬剤師を雇うためにスポンサーになるということは、特に外国に在住の見ず知らずの人のスポンサーになることは皆無です。やはりチェーン薬局の、CVS、Walgreens、RiteAid などなどを利用するしかありません。4月の申請に合わせてこれらのチェーン薬局には前年の12月までには連絡しましょう。これらのチェーン薬局も世界中から問い合わせが来ますので、2月くらいにはもう受け付けない(返事すらくれない)としてしまうようです。連絡は怖くても電話が一番です。ほとんどの人はメールで連絡します。その場合、順番に対応しているのでなかなか返事すらもらえません。でも電話で直接話すことができれば、用は割り込んで行くわけですから優先度アップ間違い無しです。もちろん、FPGECは取得しておかないと門前払いです。外国に住んでいる場合、すべての条件がそろっていれば面接なしで申請しますということもあるようです。スポンサーが見つかればあとは必要書類をスポンサーの移民弁護士に提出して、4月に移民局に申請、遅くても5月の始めには許可がおります。
スポンサーを見つけるには、アメリカのどこで働きたいかなどの臨機応変に対応しましょう。企業側も薬剤師が不足しているところに行ってほしいと願っているわけですし、H1bの手続きは3000ドルほどかかりそれを会社が出しているわけですから、会社側も不足している地域に行ってくれる人を優先します。